「メガネの寿命」というと、一般的には「フレームやレンズの劣化」を指します。それは事実ですが、もう少し踏み込んでいうと、メガネの寿命とは「快適にものを見れなくなる」ことを意味するのです。
メガネは「快適にものを見る」ための道具です。単なるファッションアイテムではなく、立派な医療機器です。
メガネの寿命(メガネの劣化)を理解し、買い替えのタイミングを知ることは、目の健康寿命を伸ばすことにもつながります。
お金さえ出せば、いくらでもメガネの替えはききますが、臓器である「目」の替えはききません。
目の負担をやわらげる「ラクミエ®」を提案する千里堂は、お客様一人ひとりにたっぷり時間をかけて問診・視力測定を行い、フルオーダーカスタムレンズを作製するメガネ店です。
わたしたちは多くのお客様と関わるなかで、「メガネ」という身近な医療機器に対する基本的な理解・知識が不足していることに気付きました。そしてもっといえば、これまでのメガネ選びに満足した人が少ないこともわかってきました。
そこでこの記事では、「メガネの寿命」をテーマに、メガネを買い替えたほうがいい判断基準を解説するとともに、長く快適に使い続けられるメガネを選ぶには、まずお店選びが重要であることをお伝えします。
この記事を読めば、中級者並みのメガネ知識を獲得することができるようになり、失敗するメガネ選びのタブーを回避できるようになるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
メガネの寿命の平均
レンズの寿命:約2~4年
多くのメガネに使われているプラスチックレンズの寿命は、およそ2~4年と言われています。見た目は変わらないように思えても、レンズの表面コーティングが少しずつ剥がれたり、レンズ素材自体が経年劣化したりすることで、視界がぼやけてくることがあります。また、度数が変わってきている場合も、レンズ交換のサインです。
プラスチック(アセテート)フレームの寿命:約2~10年
メガネのフレームに使われるプラスチック、特にアセテートと呼ばれる素材は、軽量でデザイン性が高く、多くのメガネに使われています。安価で耐久性の低いものから、高価で耐久性の高いものまで幅広く存在します。ですので、劣化の度合はフレームの品質によってまちまちです。
プラスチック(アセテート)フレームの劣化は次のような現象となってあらわれます。
- 変形:長期間の使用や、強い衝撃によってフレームが変形し、顔にフィットしなくなったり、レンズの位置がずれてしまうことがあります。
- 変色:紫外線や汗、化粧品などによる変色が見られることがあります。特に、明るい色のフレームは変色が目立ちやすい傾向にあります。
- ひび割れ:経年劣化や、強い衝撃によってひび割れが生じる可能性があります。
メタルフレームの寿命:
一般的にメタルフレームはプラスチックフレームに比べて寿命が長く、適切なケアを行えば10年ほど使用できると言われています。しかし、以下の要因によって寿命が短くなる場合があります。
- 破損:強い衝撃を受けると、フレームが変形したり、折れてしまうことがあります。
- 歪み:長期間の使用や、不適切な扱いによって、フレームが歪んでしまい、顔にフィットしなくなることがあります。
- 汚れ:皮脂や汗、化粧品などが付着し、変色や腐食の原因となることがあります。
- メッキの剥がれ:メッキ加工されたフレームの場合、メッキが剥がれてしまい、金属の地が出てくることがあります。
メガネの寿命をのばす方法
メガネの寿命をのばしてを長く使い続けるためには、正しいケアが大切です。
①メガネを外すときの注意点
【両手で丁寧に外す】
メガネを外す際は、必ず両手でフレームを持ち、ゆっくりと顔から離しましょう。片手で勢いよく外すと、フレームやテンプルに歪みが生じ、破損の原因となります。
【顔の前に出すように外す】
メガネを外す際は、顔の前にメガネを差し出すようにしましょう。フレームの歪みを抑えることができます。
②メガネの収納方法
【持ち運ぶときはメガネケースを使う】
メガネを持ち運ぶときは、必ずメガネケースに入れましょう。メガネケースは、メガネを外部の衝撃やホコリから保護する大切な役割を果たします。
【頻繁に使うときはメガネを折り畳まない】
メガネのかけ外しが多いときは、テンプル(つる)を折り畳まないで、伸ばしたまま保管するようにしましょう。頻繁に折り畳みするとネジが緩んだり、フレームが歪んだりするからです。
【メガネを置くときは上部を逆さにする】
フレームの歪みをさらに抑える方法として、メガネの“天地”を逆さにして置く、があります。フレームに負荷をかけにくいのでおすすめです。
③レンズの扱い方・クリーニング方法
【水洗いをこまめに行う】
レンズを拭く前に、流水で軽くすすぎ、表面のゴミやホコリを取り除きましょう。
【専用のメガネ拭きを使う】
メガネ拭きで優しく拭き取りましょう。市販のメガネクリーナーを使用すると、より効果的に汚れを落とすことができます。
【乾いた布で拭かない】
乾いた布でレンズを拭くと、レンズ表面に傷がつく恐れがあります。
【手で直接触らない】
指紋や皮脂が付着すると、レンズが曇ったり、視界がぼやけたりする原因となります。
④メガネの使用環境
【高温多湿な場所を避ける】
プラスチック製のフレームやレンズは、高温多湿な環境下で変形したり、劣化したりする可能性があります。
【直射日光を避ける】
直射日光は、レンズのコーティングを劣化させたり、変色させたりする原因となります。
衝撃を与えない: メガネを落としたり、強い衝撃を与えないように注意しましょう。
⑤定期的なメンテナンス
どんなに完璧なフィッティングでも、メガネを使用し続けると鼻パッドやフレームは歪んでいきます。歪みを放置すると、見え心地だけでなく、フレーム全体の歪みをもたらす可能性があるため、結果的にメガネの寿命が縮んでしまう恐れがあります。
⑥フィッティング技術の高いお店に仕立ててもらう
他の解説記事ではほとんど言及されないポイントです。実はフィッティング技術(メガネの位置調整)が、長期的にみてメガネの寿命を左右します。
しかしフィッティング技術にはお店によって差があるのですが、一般のお客様は、その事実をほとんど知りません。だから“なんとなく”や“安さ”で選んだお店でメガネをフィッティングしてもらうことになります。
メガネの寿命を伸ばし、快適に使い続けたい方は、最低でも国家資格「眼鏡作製技能士」を有するスタッフが在籍するお店をチョイスしましょう。
メガネの買い替えを検討するべきポイント
メガネを買い替えるべきタイミングは、以下の3つのサインが出た時です。
①度数が合わなくなったとき
症状: 目を細めてものを見る、光がにじむ、文字がぼやけるなど。
原因: 近視や遠視、乱視などの度数が変化するため。
影響: 眼精疲労、頭痛、肩こりなどを引き起こす可能性があります。
特に、成長期や老眼が始まる時期は、視力が変化しやすいので注意が必要です。
②レンズが劣化しているとき
症状: レンズに黄ばみや傷がある、コーティングが剥がれている。
原因: 紫外線や摩擦、経年劣化による。
影響: 視界がぼやけたり、物が歪んで見えたりすることがあります。
白い紙の上にレンズを置いて、黄ばんでいないか確認してみましょう。
③フレームが劣化しているとき
症状: フレームに傷や変色がある、ネジが緩んでいる、パーツが破損している。
原因: 摩擦、汗、皮脂などによる。
影響: 掛け心地が悪くなり、顔に合わない場合があります。
メガネの寿命がきているのに買い替えないリスク
たかがメガネ、されどメガネ。見え方をサポートする立派な医療機器ですから、いま使っているメガネが道具として十分に機能しているかどうかは、あなたの目の健康においても極めて重要です。
以下に、メガネを買い替えないことで生じうるリスクを紹介しましょう。
①目が疲れやすくなる
レンズやフレームが劣化すると、見え心地にかなり影響を及ぼします。度数が合わなくなる、レンズと目の位置がズレるなど……適切な見え方を保持できないメガネは、目に負担をかけることになり、結果的に視力低下を招きます。
②集中力が散漫になる
すぐにずり落ちるメガネはいらいらしますよね。それだけではなく、レンズの適切な場所に黒目が位置していないと、ものが見にくかったり、疲れやすくなったりしますので、それもまた集中力を妨げる原因になります。
③頭痛や肩こりなど身体に影響がでる
目の疲れは、身体の不調となってあらわれます。後頭部と首の付け根を指で押してみてください。そこに視神経が集中しています。目が疲れているとズキッと痛むはずです。その状態になっているということは、すでに頭痛や肩こりも引き起こしている可能性があります。
寿命を迎えたメガネ、すなわち買い替えるべきメガネをまだ使い続けていると、何度整体に行っても改善できない頭痛や肩こりを抱え込むことにもなります。
メガネの寿命は「メガネの品質」と「フィッティングの技術」が大きく左右します
「次に買い替えるなら、どのメガネ店にしよう?」と迷っていませんか。
もしあなたが、快適な見え心地を長期間維持し、長く使い続けられるメガネを求めているなら、「値段」と「技術」は妥協しないほうがいいかもしれません。
千里堂はこれまでたくさんのお客様の相談にのってきましたが、そこで気付かされるのは、一般の人はメガネ選びのことがよくわからず、いいメガネの価値を知らないまま、なんとなく安価なメガネを選んだり、ショップ店員に言われるがまま選んだりしているということです。
それは、いいメガネの価値を伝えきれていないメガネ業界の責任でもあります。
以下に、寿命が長いメガネ、すなわち長く快適に使い続けられるメガネを選ぶために重要なことを2つまとめてご紹介します。
①安いメガネと高いメガネには質の違いがある
長年接客していて痛感するのが、多くのお客様が「安いメガネと高いメガネの違いがわからない」ということです。
いまこの記事を読んでいるあなたにぜひ伝えたいことは、低価格のメガネと高価格のメガネには「質」の点で明確な違いがあるということです。
なぜなら、次の違いがあるからです。
- 低価格帯のメガネ:フレームに融通性がなくフィッティングが難しい。つまりフィッティングが前提でつくられていない=「似合うメガネ」に近づけることが難しい。
- 高価格のメガネ:細かいフィッティングができるように柔軟性のあるフレームでつくられている。かけたいメガネを似合うメガネに仕立てやすい。
メガネのクオリティや耐久性の点においても、メガネの価格で大きな違いがあります。詳しくは千里堂の本店の記事『「高いメガネ」と「安いメガネ」の違いは?品質・サービスの観点から解説。』をご覧ください。
ちなみに千里堂は、すでに所有しているメガネフレームのお持ち込みを歓迎しています。
「デザインが気に入っているからこれを使い続けたい」「安く手に入れたフレームを使えないだろうか」というご要望がある方は、お気軽にご相談ください。すにでお持ちのフレームを、“より似合うように”仕立てることも可能ですよ。(※フレームの強度によって限界があります)
もちろん「高価格のメガネを買うべき」とまでは言いません。選択肢の一つとして、いいメガネを取り揃えているメガネ店を検討してみてくださいね。では具体的にどんなメガネがあるのかといいますと、以下に一例を挙げます。
【海外ブランド】
- オークリー(Oakley)
- ディータ(DITA)
- レイバン(Ray-Ban)
- ポールスミス(Paul Smith)
- ローデンストック(RODENSTOCK)
- シャネル(CHANEL)
- カルティエ(Cartier)
など
【国産ブランド】(千里堂イチオシ!)
- 999.9(フォーナインズ)
- TAYLOR WITH RESPECT
- STEADY
- BCPC(ベセペセ)
- YELLOWS PLUS
千里堂は国産メガネの聖地「鯖江」でつくられたメガネを扱っています。丁寧な職人技でつくられたフレームが、精密なフィッティングを可能とするからです。
②メガネ店によってスタッフの技術レベルに差がある
次はスタッフの質のお話です。
千里堂は国家資格「眼鏡作製技能士」を保有するスタッフが在籍するメガネ店です。じつはメガネ店によってスタッフのレベルに違いがあります。
具体的にいうと、次のような点で知識・経験・技術に差があります。
- 似合うメガネを選ぶセンス
- メガネに関する体系的な知識
- 似合うようにメガネをフィッティングする技術
- メガネがズレないようにフィッティングする技術
- 快適にメガネをかけるための度数の提案
など。
「メガネの寿命」に関心がある方は、やはり国家資格「眼鏡作製技能士」のスタッフが在籍している店舗を優先的に探してください。一流のフィッティングのプロですから、安心してメガネの相談ができます。
まとめ
メガネの寿命は、目の健康に直結します。
快適にものを見ることができなければ、目に余計な負担をかけてしまいます。
わたしたち千里堂は、「メガネがいらなくなるためのメガネ」を提案する、ちょっと変わったメガネ店です。ミッションは「メガネっ子をゼロにする」こと。
メガネを売ることを目的にしているのではなく、近くを見るときの負担をやわらげて、快適な生活をサポートすることを使命としています。
メガネの寿命に気づいたあなたは、できるだけ早いうちに、まずはお近くのメガネ店に相談してください。購入したお店なら、鼻パッドの交換や、ちょっとしたフレームの調整なら対応してくれるはずです。
そんななかで、もしも
- 「精度の高いフィッティングをしてほしい」
- 「メガネ選びをいちからやり直したい」
- 「いまの度数に納得いっていない」
- 「しっくりくるメガネに出会ったことがない」
という方がいらっしゃるなら、ぜひ一度、千里堂にお越しください。購入をしなくても結構です。メガネに関する“モヤモヤ”を晴らしたいという方のお越しを心より歓迎しております。