メガネ選びの理想のゴールは、「長く使い続けることができ、長期的に満足できる」です。壊れたり、似合わなかったり、目が疲れたりするメガネは、いいメガネ選びとはいえません。
しかし「メガネ」という道具は、お店側とお客側の間で、知識の差がありすぎるため、わけもわからずお店の言われるがままメガネを購入してしまうお客様がたくさんいらっしゃいます。
この記事では、一人でも多くの人が、メガネという道具の原理原則を理解し、自分に合うメガネを選ぶための知識を獲得することを目的としています。
メガネの知識を身につけるということは、自分の目を守ることと同じ意味です。
この記事は、お客様一人ひとりにたっぷり時間をかけて問診・視力測定を行う千里堂メガネが、長年の経験をふまえて、「後悔しないメガネ選びとは何か?」について、みっちりと解説します。他のWEBサイトでは知ることのできない“ここだけの話”も書いていますので、ぜひ最後までご覧ください(フィッティングに関するお話は要チェック)。
目次
メガネ選びの基礎知識
①度数
メガネを選ぶ際に必ず目にする「度数」。度数とは、簡単に言うと「あなたの目がものを見るために、レンズの強さをどれだけにするか」を示す数値です。
【度数で表されるもの】
たとえば度数は、次のような指標で表します。
- 近視や遠視の度合いを示す「球面度数(SPH)」
- 乱視の度合いを示す「円柱度数(CYL)」
- 乱視の方向を示す「乱視軸(AXIS)」
- 左右の目の瞳孔間の距離を示す「瞳孔間距離(PD)」
【度数と視力の違い】
よく混同されがちですが、度数と視力には大きな違いがあります。
- 視力➡視力検査で測る、眼そのものの見え方の能力を表す数値です。
- 度数➡メガネのレンズの強さを表す数値で、視力を補正するために必要なレンズの度合いを示します。
つまり、視力は「あなたの目がどれだけ良く見えるか」を示し、度数は「あなたの目がクリアに見るために、メガネにどれだけの力が必要か」を示しているのです。
【同じ視力の人でも度数が違う理由】
同じ視力の人でも、度数が異なることがあります。目の構造や状態が一人ひとり異なるためです。例えば、同じ視力でも、近視の度合いが強く、乱視がある人もいれば、そうではない人もいます。そのため、一人ひとりに合った度数のメガネを選ぶことが大切です。
目の使い方のクセ、筋肉のつき方、眼球の形状など、人それぞれ状態が異なります。千里堂では、たっぷり時間をかけて問診・視力測定を行い、一人ひとりに合ったオーダーレンズを作製します。
②適切なメガネ度数は「見る距離」に合わせて調整する
通常のメガネ店では、視力が1.0になるように度数を調整しようとします。しかし1.0が適切とは限りません。なぜなら人の目は、近くを見るときにもっとも負担がかかる仕組みだからです。
多くのメガネ店では、「遠くのものがよりよく見えるようになればよい」という考えのもとでメガネをつくっています。たしかにそれは、遠くのものを見るという点に関しては優れているといえますが、近くのものを見て生活している人にとってはオーバースペックなのです。
「見えすぎるメガネ」でデスクワークや勉強をすると、目が必要以上に疲れてしまい、視力低下のスパイラルに陥る可能性があります。
③レンズの種類
メガネのレンズには多くの種類があります。単に「遠くが見える」だけでなく、様々な場面や用途に応じた機能を持つレンズを知っておくと、これから先のメガネ作りの参考にしていただけます。
以下に、簡潔ではありますがレンズの種類をご紹介しましょう。
単焦点レンズ | 多くの人が使用している一般的なレンズです。「特定の距離に特化したレンズ」と覚えておくとわかりやすいですね。近視や遠視、乱視などの眼を補正する機能を持ち、焦点を合わせる箇所は1つです。 |
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多焦点レンズ(累進レンズ) | 1枚のレンズで度数が変化し、遠くから近くまで複数の焦点を合わせることができるのが多焦点レンズです。境目がなく徐々に度数が変わるため「累進レンズ」とも呼ばれます。遠近両用レンズ・中近レンズ・近々レンズの3種類に分けることができます。 |
二重焦点レンズ(バイフォーカルレンズ) | 遠距離の度数が全体を大きく占め、下部に小窓のように近距離用の度数がついている構造で、境目がはっきりと目立つのが特徴的です。ゴルフなどのスポーツや、歯科医などの手元で精巧な作業が求められる作業で使用されます。 |
トライフォーカルレンズ | 遠距離、中距離、近距離に合わせた3つの度数が入っているレンズです。二重焦点レンズと同じように境目がはっきりと目立ちます。実際に使用される場面は少なく、パイロットのように上から下まで常に視界全体がはっきり見える必要があるような特殊な作業で使用されることが多いです。 |
調光レンズ | 紫外線に反応してレンズの色の濃さが変化するレンズです。基本的には太陽光が強い屋外ではサングラスのように濃くなり、太陽光が弱まる室内ではメガネのように色が薄くなるので、メガネからサングラスに掛け替える必要がない便利さがあります。 |
偏光レンズ | 水面や雪道による光の乱反射をカットして見えやすい視界を作る効果を持つレンズです。ちなみに千里堂の網走本店は、道内でも数少ないTALEX(タレックス)認定店です。お求めの際はぜひお問い合わせください! |
④フレームの種類
メガネのフレームには、フレームの形から素材まで、さまざまな種類があります。フレームの種類を考えるとき、大まかに3つの観点があります。
形(シェイプ) | 1.スクエアフレーム2.オーバルフレーム3.ウェリントンフレーム4.ボストン型フレーム5.ティアドロップフレーム6.ブローフレーム7.ラウンドフレーム8.フォックスフレーム |
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レンズを囲む部分(リム) | 1. フルリム2. ハーフリム(ナイロール)3. リムレス(フチナシ)4. アンダーリム(逆ナイロール)5. ブロー(サーモント)6. ネオプラスチック7. コンビネーション |
素材 | 1.メタルフレーム2.セルフレーム3.鼈甲(べっこう)4.ゴールド5.バッファローホーン |
⑤耐久性
メガネは何年くらい使えるのでしょうか?一般的に、メガネのレンズは、2~4年が寿命と言われています。毎日使っているうちに、紫外線によるダメージや、気づかないうちに付いた細かい傷などが蓄積され、レンズが劣化していきます。レンズが劣化すると、視界がぼやけたり、物が二重に見えたりするなど、視力補正機能が低下してしまう可能性があります。
⑥メガネを買い替えるタイミング
メガネをいつ買い替えればいいか迷っている方は、以下のサインに注意してみましょう。
視力の変化 | メガネをかけても目が疲れる遠くのものが見えにくい近くのものが見えにくい文字が二重に見える頭痛や肩こりがする |
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レンズの劣化 | レンズに傷がついているレンズが黄ばんでいるコーティングが剥がれている |
フレームの劣化 | ネジが緩んでいる鼻パッドが壊れているフレームが歪んでいる |
メガネを適切なタイミングで買い替えないと、以下のような問題が起こる可能性があります。目の健康を守るためにも日頃から買い替えのタイミングを意識しましょう。
- 視力低下: 度数が合っていないメガネを使い続けると、視力が低下する可能性があります。
- 眼精疲労: 目の疲れ、頭痛、肩こりなどの症状を引き起こすことがあります。
- 視界のゆがみ: レンズの傷や汚れによって、視界がゆがんで見え、視力に悪影響を及ぼします。
⑦フィッティング技術
実はメガネの似合う・似合わないは、「フィッティング」がカギを握っています。
なんとなくいいなと思ってディスプレイのメガネをかけて、鏡を見てみると、「なんか違うな……」とがっかり。そんな経験ありませんか?「メガネが似合わない」と悩む人が100人いたとしたら、そのうち90人が経験するといっても過言ではありません。
ディスプレイに飾られているメガネをそのままかけて「似合わない」のは、ごく当たり前のことです。なぜなら、その人の顔にぴったり収まるようにフィッティングしていないからです。
つまり、本当はフィッティングをすれば似合うメガネなのに、ディスプレイに飾られている状態で「似合わない」と判断している可能性があるわけです。
ですから、けっきょくは「いつものメガネのフレーム」で妥協せざるを得なくなり、いまいちテンションがあがらない、モヤモヤしたお買い物をすることになってしまいます。
フィッティングをしていないメガネで「似合う」「似合わない」を判断していると、本当に自分がかけたいメガネをかけることができず、おしゃれを楽しめなくなります。それってすごくもったいないですよね。
本当に似合うメガネをお求めなら、少なくともフィッティングのプロである国家資格「一級眼鏡作製技能士」の在籍店を選ぶようにしましょう。
千里堂は国家資格「一級眼鏡作製技能士」を保有するスタッフが、正確な理論と長年の経験で、「あなたが本当にかけたいメガネ」をかけられるようにいたします。
⑧高いメガネと安いメガネの比較
「安いメガネと高いメガネ、一体何が違うの?」こんな風に思ったことはありませんか?実は、メガネの価格には、快適なメガネライフを左右する大きな違いが隠されています。
メガネの価格が大きく異なるのは、主に以下の3つの要素が大きく関わっています。
【フレームの品質】
- 低価格帯のメガネ:安価なプラスチック素材が多く、柔軟性が低いものが一般的です。そのため、顔の形に合わせて調整しづらく、”似合う”メガネに仕上げるのが難しいケースも。
- 高価格帯のメガネ:金属や丈夫なプラスチック素材など、耐久性が高く、顔の形に合わせて細かく調整できる素材が使われています。
【レンズの品質】
- 低価格帯のメガネ:基本的な機能は備えていますが、量産型のため一人ひとりに合うレンズにカスタムできず、本当に必要な度数を提供できないことも。
- 高価格帯のメガネ:非球面レンズや薄型レンズなど、視界がクリアで疲れにくいレンズが採用されています。
【ブランド力と付加価値】
- 低価格帯のメガネ:大量生産されたものが多く、デザインや機能がシンプルなものが一般的です。
- 高価格帯のメガネ:品質の点で圧倒的な違いがあります。歴史あるブランドやデザイナーが手掛けたものなど、デザイン性や機能性が際立っているものが多く、ブランドイメージや付加価値が価格に反映されています。
詳しくは千里堂の本店の記事『「高いメガネ」と「安いメガネ」の違いは?品質・サービスの観点から解説。』をご覧ください。
ちなみに千里堂は、すでに所有しているメガネフレームのお持ち込みを歓迎しています。
「デザインが気に入っているからこれを使い続けたい」「安く手に入れたフレームを使えないだろうか」というご要望がある方は、お気軽にご相談ください。すにでお持ちのフレームを、“より似合うように”仕立てることも可能ですよ。(※フレームの強度によって限界があります)
もちろん「高価格のメガネを買うべき」とまでは言いません。選択肢の一つとして、いいメガネを取り揃えているメガネ店を検討してみてくださいね。では具体的にどんなメガネがあるのかといいますと、以下に一例を挙げます。
【海外ブランド】
- オークリー(Oakley)
- ディータ(DITA)
- レイバン(Ray-Ban)
- ポールスミス(Paul Smith)
- ローデンストック(RODENSTOCK)
- シャネル(CHANEL)
- カルティエ(Cartier)
など
【国産ブランド】(千里堂イチオシ!)
- 999.9(フォーナインズ)
- TAYLOR WITH RESPECT
- STEADY
- BCPC(ベセペセ)
- YELLOWS PLUS
千里堂は国産メガネの聖地「鯖江」でつくられたメガネを扱っています。丁寧な職人技でつくられたフレームが、精密なフィッティングを可能とするからです。
顔の形に合ったメガネの選び方
以下に示すのは、一般論として顔の形に似合いやすいメガネのセオリーです。ただしあくまでもセオリーですので、参考程度にご覧ください。よく「この顔の形にはこのメガネが似合う」「このメガネは似合わない」といった話がありますが、これらはあくまでメガネ選びの基準であって、絶対の決まりではありません。
繰り返しますが、上記の図は、あくまで参考までにとどめておきましょう。フィッティング次第で、セオリー的に相性が悪いとされているメガネでも、プロのフィッティングにかかれば、ぴったり似合うことも十分にありえます。千里堂はまず「どんなメガネをかけたいか?」というお客様のご要望を尊重しています。
顔のサイズに合ったメガネの選び方
これもフィッティングに関わるお話です。イメージのなかでは「自分に似合いそうだな」と思ったのに「なんか違和感あるな……」と思ったときは、まずは顔の幅とメガネの幅を確認してください。
レンズ部分の天地幅 | 眉からあごまでの長さの1/3以内: レンズの上下幅は、顔の縦の長さのバランスを調整する上で重要な要素です。 |
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フロント横幅 | 顔幅とほぼ同じ: 顔の横幅に合わせたフレームを選ぶことで、バランスの取れた印象になります。 |
メガネ選びが深まるポイント
①ファッションとの組み合わせ
メガネは単なる視力矯正具ではなく、あなたの顔の一部であり、ファッションアイテムでもあります。メガネ選びは、視力だけでなく、あなたのスタイルや個性を表現するチャンスです。
たとえば、
- カジュアルな服装:太めのフレームや丸みのあるデザインがおすすめです。
- フォーマルな服装: 細身のフレームやスクエア型のデザインがおすすめです。
- 個性を表現したいなら:ユニークなカラーや形のフレームに挑戦してみましょう。
など、メガネとファッションを組み合わせることで、より魅力的な自分を作ることができます。ぜひ、ファッションとの相性を意識してメガネを選んでみてください。
好きな俳優やアーティストのファッションを参考にするのもおすすめです。色々と気付きや発見がありますよ。
②使う場面に合わせた度数
千里堂としてぜひ強調したいポイントです。メガネはあくまでも「見る」を助ける道具です。快適にものを見ることができなければ、視力低下だけでなく、集中力が散漫になったり、頭痛や肩こりがひどくなったりするなど、心身に影響を及ぼします。
「メガネをかければ見やすくなる」のは当然ですが、ものが見やすくなるからといって、目の負担を減らすことにはなりません。
わたしたちの目は、近くを見るときに最も負担がかかる仕組みになっているのです。ですから、メガネをかけて勉強やパソコン作業をすると、目が疲れやすくなってしまいます。
千里堂のメガネは、まさにその従来のメガネの問題点にフォーカスして、近くを見るときの目の負担をやわらげるメガネレンズ「ラクミエ®」をご提案しています。
はじめてメガネを選ぶからこそ「眼鏡作製技能士」の在籍するお店がおすすめ
以上が、メガネの選び方に関して知ってほしいポイントでした。今回の内容を集約すると、後悔しないメガネ選びとは、いいメガネ店を選ぶということです。いいメガネ店とは、知識・経験・技術が確かなスタッフが在籍している店のことです。
メガネ店の質を確かめるわかりやすい方法が、国家資格「眼鏡作製技能士」の有無です。ぜひ参考にしてくださいね。
メガネを選ぶということは、新しい自分に出会うということ。
千里堂は、
- 人からどんなふうに見られたいか
- どんなシーンでかけたいか
- どんなファッションが好きか
- そもそも人としてどんな雰囲気を持っているか
といった情報を総合して、あなたが「これだ!」と思える一本を見つけるお手伝いをいたします。
メガネ選びで悩んだら、ぜひ一度ご相談ください。あなたの魅力を引き出す、そんなメガネ選びを一緒に楽しみましょう!